劇団員日記

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夏日               渡部志保 2007年05月06日(日)

  先日近所で交通事故の現場に遭遇しました。テレビで見るよりも生々しく、それでいて現実感がない、不思議な感覚を味わったのを今でも覚えています。

その日はちょうど夏日と言われるほどの暑い日で、私は久々の休みだったので隣の駅まで自転車で買い物に行きました。
現場に遭遇したのはその帰り道。家までもう1分たらずのところでした。
車が渋滞気味だったので何だろうと思ってみると、トラックの後ろに若い女性が倒れているのが見えました。顔は向こうを向いていたので表情は見えませんでしたが、頭部に血がべったりついていてその血がアスファルトに何メートルも続いていました。
事故直後だったらしく、パトカーも救急車もまだ来ておらず、現場は騒然としていました。

すぐ前のスーパーの警備員のおじさんが大声を出しながら交通整理をしていました。
被害者の女性の脇に、加害者の運転手らしき中年の男性が立ち尽くしていました。動かない女性になすすべもないといった感じでした。
私の隣にいた小学生の女の子が気分悪そうに胸をおさえていました。
子供連れの母親が子供に目隠しをして足早に横断歩道を渡っていきました。
目の前の光景があまりに非日常的で、私はしばらく立ち止まったままでした。

家に帰るとようやくサイレンの音が聞こえてきました。
あの女性は大丈夫だろうか。救急車は間に合ったんだろうか。

その夜はいろいろなことを考えました。
事故には気をつけようとかそんなことではなく、被害者の女性のこと、彼女の家族のこと、加害者のこれからの人生のこと…。
考えなくていいことまで考えてしまって、なかなか寝つけませんでした。

翌日は朝から雨でした。事故現場を通るとあの血は洗い流され、その脇に花と死亡事故発生の看板がありました。その日はとても悲しい気持ちで仕事に行きました。

でもそれと同時に自分が生きていること、家族が無事でいることにとても感謝しました。
こんなことを実感できるのは、人生で何回もないことではないかと思います。

今回の痛ましい事故は、私にいろいろなことを教えてくれました。
そして被害者の方のご冥福を心からお祈り致します。
 


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